「ポツンと一軒家」

査定車両:三菱 トッポ

2016年秋

県内でもかなり遠方の地域からの出張査定の依頼を受ける。

会社から車で2時間以上かかる地域で事前にネット地図を確認したところかなりの山の中。周囲には他に建物は無くまさに「ポツンと一軒家」である。近隣には「熊○○」といかにも熊が出そうな地域名がある。

査定当日、長距離を駆け依頼主宅のある山の裾まで到達。すでに携帯の電波が無い・・・

笹藪と高い杉の木に囲まれ当たり前に熊が出そうである。

さらに山中の細い道路を進んで行くとようやく依頼主宅を発見。

母屋らしきバラック小屋(失礼)を挟む形で木造の小屋2つが建っている。

家の脇にはギャンギャンと吠える外飼いの犬が2頭。小屋からリードでつながれているがそこら中にウ〇コが落ちている。掃除してくれ・・・

私「あ~、そういう感じね」

とため息交じりに玄関へ。

チャイムは無いので

私「ごめんくださ~い」

依頼主が出てきてご挨拶。

依頼主「犬うるさくてごめんね。熊除けだから吠えるんだよ」

まじか・・・である。

私「熊、出るんですか?」

依頼主「そのへんにいるよ。犬が吠えるから近くまでは来ないけどさ。まあ入ってよ」

招かれて入った家の中には薪ストーブがたかれておりストーブから伸びたパイプが最終的に屋根の煙突につながる仕様になっていた。そしてストーブやパイプをはじめ、家の中のものすべてが簡素な作りである。

ここは明らかに平成ではないと感じた。

依頼主は中年男性で奥に父親らしき高齢男性が座っていた。なんでこんなところでこんな生活をしているんだと不思議に思ったがそれを聞くのは私の仕事ではないと切り替え。キーをお借りして査定を始める。

ボロボロの木造小屋にあるトッポを査定している最中ずっと犬たちに吠えられ続けるが熊が来ないならとガマン。

査定を終えキーを返却。査定結果を会社に報告し買取条件を出したいがあいにく携帯の電波が無いので今日のところはこれで失礼して明日電話で結果を伝えることに。

30分ほど走ってようやく住宅や商店を見たときはとても安心したものである。おそらくあの空間にいる間中どこか不安というか緊張感を持っていたのだと思う。

最終的に買取する事が出来たがあまりに遠いので書類関係は郵送、車両の引き取りは陸送会社を手配し私がもう一度赴くことは無かったが、もう一度行ってあの異常な雰囲気を味わうのも悪くなかったと思った一件。

この家、リアルに「ポツンと一軒家」で紹介されてないだろうか?

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