査定車両:マツダ ベリーサ
2015年冬
出張査定先でのこと。
依頼主は年輩男性。到着時、玄関先で挨拶した際靴箱の上に小さな水槽が見えた。
魚好きな私は水槽内にグッピーを確認。
私「グッピーですか」
依頼主「知ってる?趣味で飼ってるんだよ」
私「きれいですね、それでは早速査定をしてきますのでキーをお願いします」
その時はただのコミュニケーションとして振った話であったのだが・・・
査定終了後、玄関のチャイムを鳴らすと依頼主が扉を開け
依頼主「さあ、入って入って」
私「あ、はあ、お邪魔します」
査定の際、商談は玄関先で行うのが基本だが依頼主のお誘いでお宅に上がらせてもらうこともある。そういった場合、依頼主がじっくり条件を確認したい場合や条件によっては売却を決めることが有るので今日は実のある商談が出来るかもと少し期待しつつリビングへ。
リビングに入ると壁際にはたくさんの水槽が。10は無かったと思うがそれに近い数はあったと思う。そのすべてにグッピーが飼育されている。
私「すごいですねぇ」
依頼主「そう?どんどん増えちゃってねぇ。で、この水槽のグッピーはねぇ」
グッピー講義の始まりである。
いつ買取条件の話を出来るかと考えていた私はフンフンと相槌を打ちながら依頼主の話を聞き流していたのだがその話が終わらない。グッピーの生体・ルーツ・繁殖方法・飼育に適した水質・はては行きつけの熱帯魚ショップの店員との関係などなど・・・
どうやら触れてはいけない部分を私がわしづかみしてしまったようだ。
本来、買取につながるよう依頼主とコミュニケーションを深める事は重要だがこの依頼主は違うと私の直感が言っていた。時計を見ながら
私「申し訳ございません。、わたくし次の予定が有りまして」
気持ちよく話しているところ申し訳ないが、かれこれ1時間近くグッピーに時間を取られている状況を打破すべく買取条件を提示。
依頼主「そうですか、他の買取業者も呼んでるんで後で連絡しますよ」
私が時間が無いと言ったからかグッピー後の話は極めてあっさりしたものであった。
後日、他の業者がずいぶん高い価格で買取を申し出たそうでそちらに売却したと連絡をもらったが、買取出来なくて残念に思うと同時に、私が買取をしていた場合またグッピー講義を聞かされたのかと考えると、少しホッとしたものである。
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