普通自動車を所有している場合、ほとんどの方が毎年【自動車税】を納付しているはずです。ここでは車を売却する際の自動車税の扱いについて、損をしないための方法を解説したいと思います。
まず【自動車税】は【都道府県税】に区分されており、お住いの都道府県が管轄するもので毎年4月1日の時点で車の所有者に納税義務が発生します。なお納付書が届くタイミングは都道府県によって違っていたと記憶しています。
基本的に排気量に応じた設定になっていますが、登録年や登録区分によって税額は変わりますので詳細についてはお住いの都道府県HPやWEBで「自動車税」と検索するだけで調べられます。詳しくは:自動車税 – Wikipedia
そして【自動車税】は、車を売却する際も手放すタイミングによって買取価格に反映されるという事を言っておきます。なおここでは【自動車重量税】と【自賠責保険】の扱いについては省かせていただきます。時期に応じた金額などについてはWEBで「自動車税 月割り」と検索するとすぐに見つかります。
さて、税の制度など小難しい話はさておき、この【自動車税】が納付済みの車を買取する際の買取店側の手法の一例をご紹介してみたいと思います。
「買取価格は総額で〇〇円になります。」
これでは買取価格の中に含まれる自動車税の金額がわかりません。その結果、一般のユーザーの方はよくわからないまま車を売却してしまい、自動車税に関してはうやむやのままというケースも珍しくありません。逆に、まだ納付していないタイミングでは必ずその分の納付を求められますので未納付になる心配はありません。
具体的な例を挙げてみます。
売却時期:8月
売却車両:1500㏄のコンパクトカー・10年経過・車検残り2か月
査定価格:「査定額は全部コミで10万円です」
買取価格10万円が提示されましたが、内訳としては納付済み自動車税34,500円のうち9月から3月までの7か月分20,100円が含まれていますので車両の買取は8万円を切ってしまいます。また、このクラスの車のリサイクル預託金はおおよそ1万円程度になりますのでそれも含めると本来の買取価格は7万円程です。
上記のケースの場合、車検期間が残り2か月と短いので買取業者は車を買い取った後登録抹消(一時抹消)を行い、未経過分の自動車税20,100円を受け取ります。すると10万円払っても約2万円が戻ってくるのでその結果仕入れ価格は安く済みます。また、車検期間の残りが長く登録抹消を行わない場合でも【納付済み自動車税】の【未経過分】は発生しますので、買取をした後に業者間での売買(オートオークション含む)や一般ユーザーに販売する際、車両代とは別に必ず【未経過分の自動車税】を受け取ることが出来る仕組みになっています。言い方は悪いですが買取の際自動車税を買取価格の中に含めてごまかすというのは後々得をすることに繋がる為、買取業者の中では奨励される手法になっていました。※2025年現在は無くなっていると思いたいです。
※自動車税の還付を受けるには各都道府県ごとの【還付委任状】を用意する必要があり売却時に印鑑を求められる書類の一つです。
査定する側の立場では「査定額は全部コミで10万円です」などと言っておけば一応説明したと言い訳は出来ますし、そもそも売主側が何も疑問を抱かず契約してしまえばそれでOKと考える買取業者も少なくないと思います。売却後に買取業者に「自動車税ってどうなるんですか?」などと質問しても帰ってくるのは「全部買取価格に含まれています」という言葉だけです。
では上記のような事例を防ぐにはどうしたら良いかという事ですが、一番簡単なのは複数の買取業者を比較してそれぞれの条件をしっかり確認することです。買取業者は依頼主が複数の買取業者に依頼しているとなった場合、同業他社に負けない条件を提示するため下手なごまかし等をすることが少なく(出来なく)なります。中には「本体価格は○○円と未経過分自動車税が○○円、合計○○円です。」などしっかり説明してくれる買取業者も出て来る可能性が有りますし、買取価格のみの提示の際は「自動車税はどうなりますか?」と質問すれば明確な回答が有るはずです。このように、買取業者に対し【売り先は比較・検討中】という事を伝えることによって有利に立ち回れる状況を作ることが大切です。
逆に、特に気を付けたいのは乗り換えの下取りなどでいつものお店に任せっきりにするという場合です。個人的にこのケースが最もユーザーに対しごまかしが可能なタイミングだと思っていますので契約書等しっかり確認することを心掛けて下さい。
【いつも使っている店】に気を付けよう – 車買取査定員の思い出日記
この他にも車を売る際に参考にしてほしい事柄を紹介していますので是非読んでみて下さい。【車を売るときアレコレ – 車買取査定員の思い出日記】


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